コミュニケーション実例集

パンちゃんとのコミュニケーション

パンちゃんについて

猫が好きな方なら頷けると思いますが、猫は人を選ぶことがあります。

外で生きてきた猫はとくに、そういう眼力に優れていますので、出産直前のある三毛猫(のちにミイと命名)も、その眼力でWさんの元へ駈け込んだのでした。

Wさんは古いお付き合いの顧客で、保護すると協力し合う間柄です。

「ほんの数回見ただけの三毛が玄関の前で鳴いていて、何事かとドアを開けたら、家の中に飛び込んできちゃいました。信じられないことに、そのまま押し入れに直行。あれよあれよという間に、出産。子猫は4頭です、里親探し頑張らねば」

こんな連絡もらって見に行くと、毛糸玉みたいにフワフワした仔猫が、一塊になって眠っていました。

パンちゃんは手のひらに乗るほど小さく、母猫のミイさんも一番気にかかる子猫のようでした。

大人になったパンちゃんは、両手にあまるほど大きくなりましたが、ずっと愛らしいまま。年齢を感じない、永遠のパンお嬢さん―そんな感じの猫だったのです。

だから、パンちゃんに癌が見つかったと聞いた時、あれから16年も経ったのだと、初めて知った気分になりました。

果たしてパンちゃんは、何を語ってくれるのでしょう・・・

パンちゃんとのコミュニケーションご報告より一部抜粋
パンちゃんの印象
不安そう うなだれている 覇気がない  元気がない 少女みたいな可憐さ いつも目にするパンちゃんの印象と一致するのは、少女みたいな可憐さだけ。いくら病気とはいえ、そのギャップに、私は驚き違和感をもった。
今の体調、今後どうしたいか(手術・入院・家にいたいかなど)
「パンちゃん、私のことわかる?」 「うんわかるよ」 うなだれたまま、答える。先生に叱られて、うつむいている―そんな中学生を見ているようだ。 「お母さんに頼まれてお話しにきたよ」そう言って、反応を待った。 「うん、いいよ」ひとり言みたいに言った後、こちらを見上げて聞いてきた。 「ねえ、私どうなっちゃうのかな?」 「不安なのかな?」 「うん」 何が不安なのか意識を集中してみるが、何もみえてこない。だが不安そのものより、何に対して不安なのか、それが、今回のパンちゃんのセッションの核の部分という気がしてきた。さらに意識を集中させると、確信がわいてきた。 「パンちゃん、1つずつ聞いていくから、合っていたら答えてね。不安なのは、病院へ行ったことに関係している?」 反応がない。 「身体の調子が悪いことに関係している?」 反応がない。 「お母さんの態度に関係している?」 「うん」待っていたような感じで、答えがきた。 「お母さんが、昨日まで(病院に行く前)と行ってからとでは、違う人みたいになっちゃった。私は、それでビックリしているし、不安に思っているの」 「違う人みたいって、どんな風に?」 目の前に、Wさんの後ろ姿が現れた。(これは、パンちゃんが見ている後ろ姿とわかる)その全身(とくに背中とお腹のあたり)から、沈鬱、深い、とても深い悲しみ、憂鬱などの感情が噴き出している。やがて、それらの感情が濃い霧のようになってWさんの全身を包み込み、彼女の姿が見えなくなってしまった。 その濃い霧へ意識を集中してみると、Wさん自身が癌という言葉を聞いただけで、怖れを(とても深い怖れ)感じていることが伝わってくる。まるで、もうだめだと決めこんでいる気持ちも伝わってくる。身内の大事な人を、癌で亡くした感じもする。 そして、Wさんのこの怖れこそが、パンちゃんを不安にさせている大元だ。 「私にもパンちゃんと同じものが見えたから、お母さんに聞いてみるよ。もう大丈夫。パンちゃんのせいではないから、安心して」 言い終わった途端、パンちゃんの気持ちが私に向かって一気に流れてきた。 「お母さんをこんなに怖れさせる病気になってしまったことに、私は一番悲しんでいるし、不安になっている。病気になったこと自体より、ずっと不安だ。」 「そうか、お母さんにパンちゃんの気持ち、上手く伝えると約束する。だから、パンちゃんの身体のことも、教えてくれるかな?調子はどう?」 「あまりよくないよ。いい時と、悪い時の差が激しいの」 「どんな風によくないのか、聞いてもいい?」 「だるい、身体全体に力が入らない」 そう話すパンちゃんの身体を見ていて、気になった箇所を、参考まで記しておきます。腹部、胸。特に胸はつかえるような圧迫感を感じる。 「そうか・・・パンちゃんは、お腹の中に、おできがあるんだって」 「うん、聞いた」 「どう思った?」 「死んじゃうのかぁって思った」 「そうか。パンちゃんの言う通り、みんな一度は死ぬね。でも、そんな、すぐ死んじゃったりしないよ、パンちゃんは」 「そうかな?」なんか頼りない言い方だ。 「でも、突然やってくるかもしれないでしょう?」 「どうしてそう思うの?」 「ママがそうだったから」 (パンちゃんと絆の深かった母猫のミイさんは、突然死のような旅立ちだった) 「ああ、そうか・・・では、死ぬのは怖い?」 「ううん・・・(と言った後、少し考える)わからない」 そう怖がっている風には見受けられない。 「でも、痛いのは嫌。苦しい思いも嫌。そして、そんな風になった私を見て、2人を悲しませるのが一番嫌」 「そうか・・・猫は優しいね。他の猫たちも、お母さんを悲しませるのが嫌って言うよ。では、これからどうしていきたいかな?」 病院や治療するイメージを、パンちゃんに送る。 「治るのならいいよ(癌が)我慢する」 「お家から離れて我慢できる?小さい時、すごく鳴いてしまったことあったじゃない」※1度里親さんの元へ行ったが、一晩中鳴き続け、w家へ帰ってきた。 ちょっとムッとした顔になって 「あれは、お家へ(wさんとママ猫の元へ)帰りたかったから。今とは違うでしょ、私だってそれくらいわかってる(大人よもう)」 「では、痛くても苦しいことがあっても、頑張って治療してくれる?」 「うん、治るなら。それを(どういう治療方針にするか)どうするかは、2人に任せる」 「わかった。そういう風にお母さんとお父さんに伝えるね。もう少し聞かせて下さい。パンちゃんにとって嫌なことは何?」 「2人、特にお母さんが悲しむこと。ああすればよかった、こうすればよかった(言い方を変えれば、wさん自身が、今までのことで自分を責めるということ)って、思われること」 「では、もし・・・治らないかもって(手術しても)って言われたら、どうしたい?」 「私ができるだけ普通にいられるようにしてほしい。(たとえ強い薬で寿命が縮まっても構わない)苦しい痛いのは、私が嫌だし・・・さっきも言ったけど、そんな私を見て、お母さんが悲しむのはもっと辛い」 「パンちゃんの気持ちよくわかりました。答えてくれてありがとう」
お母さんWさんの感想

この度は、大変お世話になりました。

今回のコミュニケーションで、パンちゃんが自分の思いを前田さんに伝えられた事で、少しでも安心できたのなら良かったと、心から思います

結果を聞いて、口調や受ける感じが、パンちゃんのイメージそのものだな、と思いました。

でも、私の中では甘えん坊の純粋培養猫だと思っていたのが大人になっていて、しかも私の事をこんなに心配してくれているのを知って・・・嬉しかった反面、なんだか切なくなりました。

病名が「乳腺腫」と言われた時点で、私自身は気づいていなかったのですが、私のトラウマである「癌」に対する強い恐怖感が出ていたようで、シッカリしなければいけない、と思いながらもパニック状態だったのだと思います。

今回コミュ二ケーションを受けて、自分の「癌」へのトラウマ(実母を小さい時に癌で亡くしている)に気づき、また、それを打ち消す事は出来ないので、自分自身がトラウマを受け入れることの大切さをしりました。

そしてパンちゃんに「病気になったパンちゃんが悪いんじゃないよ。お母さん自身の問題なんだよ。心配かけてごめんね。」と、何度か伝えることができました。

今回コミュニケーションしていただかなかったら、パンちゃんは、お母さんを悲しませてしまったという思いを抱いたまま、私は私で無理な頑張りをしたままお別れしていたことでしょう。

そうならなくて良かったと、心から思っています。前田さんから、旅立ちが近い動物と飼い主さんにとって、アニマルコミュニケーションはとても大きな意味を持つと聞いたことが何度もあって、今回そのことを、身をもって経験し痛感しました。ありがとうございました。

前田のコメント

パンちゃんへ

パンちゃんが、洋服ダンスの中に入り込んで、突然、1人旅立ったと聞いた時、すぐに、子猫のパンちゃんを思い出したよ。押し入れの段ボールの中で、ミイさんと兄弟で入っていた、あの時のパンちゃん。

知らせがある何日か前から、ミイさんのことが思い出されて不思議だったことも、合点がいった。パンちゃんのところにミイさんが迎えに来てくれること、事前に知らせにきてくれていたんだね。

パンちゃんはきっと、私と話しをした時から気がついていたのかもしれないってことも、今になってよくわかる。だからセッション中に、突然やってくるかもしれないって話をしてくれたのかなと。

私はあの時、パンちゃんが突然逝ってしまうなんて嫌だと心のどこかで思ってしまって、中立公平でいられなくなってしまったのかもしれない。

パンちゃんはあの時、お別れの仕方について、もっと話したいことがあったのかな。もしそうだったなら、気がついてあげられなくてごめんね。

パンちゃんとお話した時に得たことを、私はこれから活かしていきたい。

他の動物と飼い主さんが、同じようなことで困っている時、必ず、パンちゃんを思い出すからね。

ペットシッターの時から大好きだったから、こういう形で役にたてたこと、とても嬉しく思っているよ。
パンちゃん、ありがとう。

パンちゃんの生涯に敬意をこめて。