コミュニケーション実例集

モモタロウ君、桃子さんとのコミュニケーション

モモタロウ君(7歳) 桃子さん(18歳)について

T様の愛猫、桃子さん、モモタロウ君とお話したのは、丁度一年前。桃子さんは、T様と一心同体と言ってもいいほど、息もぴったりな関係でした。一方モモタロウ君は、とても無口でシャイ、お話するのは無理かと思うような猫さんでした。ようやくお話ししてくれたその後も、つかみどころのない感じ、彼の一部しか見ていないのでは・・・そんな不思議な感覚が残りました。

ママのT様もまた、同じように感じているとのことでしたが、当時のモモタロウ君からは、これ以上は話さないという強い気持ちが感じられました。

そのモモタロウ君に、卵大の腫瘍が見つかりました。猫の腫瘍に多い、飼い主さんが気づいた時にはかなり進行している―モモタロウ君もまた、そういう状態でした。

元々、何を考えているのかわからない所があるモモタロウ君を前に、T様は、「何をしてあげればいいのか」また「何をしてほしくないのか」明確に知りたいと、私に連絡をしてきたのでした。

具合が悪いと益々無口になって、何も話してくれないのでは・・・そんな私の心配をよそに、彼は最後の力をふり絞り、ママに愛と感謝を述べ、黒豹だった過去世もハッキリ見せてくれたのです。

モモタロウ君とのコミュニケーションご報告より抜粋
モモタロウ君の印象
身体の各機能が、限界に近い状態 それに反して気分は良い(何か清々しさを感じる) 前回の中々話さないセッションと違い、モモタロウ君自身伝えたいことがある 早く話をしたい モモタロウ君とすぐにコンタクトが取れ、私の前に座っている姿が見えてきた。 「去年お話してくれてありがとう・・・私のこと覚えていますか?」自己紹介した後、そう切り出してみた。 彼は何も答えなかったが、頷くのがわかった。覚えている、早く話をしたいという気持ちが流れてくる。 「ママから聞いたよ。(癌のこと)今、身体の調子はどう?」 去年の暮れあたりから、自分でもあれ変だな?と思い始めたという前置きがあって、「身体はかなりだるいけれど、気分は悪くないよ。なんだか、ちょっとホッとしている感じもするくらいだよ・・・肩の荷がおりたっていうかさ」 「肩の荷がおりたって、どういうこと?」 「だって僕はさ、時々おかしくなっちまうし(前回のご質問にあった、癲癇のような原因不明の発作のこと)ママの思っていた猫と違うしさ。なんか足手まといだなって、ずーっと思っていたからね。それに僕は、人間が思うほど生に執着していないんだ。わかるだろう?僕のこの感じさ。(マイペース・孤独好き・ひょうひょうとしている)楽になるなら、死ぬのは怖くないんだ」 ここでモモタロウ君は、一息ついた。この先、本当に言いたいことを話すよと、声にならない声が伝わってくる。 ※モモタロウ君についてはコミュニケーションの全文を掲載しています。 下記のリンクより御覧ください。
報告書の全文掲載
※お客様に許可をいただき、報告書を下記に全文掲載しています。
⇒モモタロウ君の報告書 全文掲載へ
ママのT様の感想

前田様、昨夜は、お忙しい中ありがとうございました。モモタロウの思いを聞くことができて、本当に、本当によかったです。

モモタロウは今朝、私が眠っている間に静かに息をひきとり、旅立ちました。

昨夜まではただ悲しかったのですが・・・モモタロウのメッセージを聞けて、「ごめんね」ではなく「ありがとう」と思うことができ、それをモモタロウに伝えられて本当に良かったと思います。前田さんのおかげです。

「また逢える」という希望に支えられて…今は涙がとまりませんが、目の前には桃子がピッタリ寄り添ってくれているので、心強いです。
報告書は落ち着いてから読ませていただき、また感想を送らせていただきます。

以下、1週間ほど後にいただいた感想。

コミュニケーションの報告書、拝見しました。

何度読んでも胸が熱く、言葉がつまって出てきません。出てくるのは、ただ熱い涙です。すごく、モモタロウの愛情を感じます。本当に私を思ってくれていると・・ヒシヒシと感じます。
「ありがとう」がいっぱいで、涙が止まりません。

今回、死を前にしたモモタロウの、何か大きなものの前で・・・私はオロオロ・ジタバタしていて・・・動物は立派というか、何というか・・とにかく、「すごいなぁ~」と考えさせられています。 

黒豹の件は見えていたというより、私の場合、「感じていた」に近い感覚です。
特に凶暴(癲癇のような発作)になったあたりからは、いつも感じていました。

怒ったときは野生そのもので・・・「猫じゃない、この子は豹だな」と、思っていたのです。大変でしたが、いつも「かっこいいね~」「きれいだね」って撫でていました。

いつも、モモタロウの視線を感じながら暮らしていたので、今はとても淋しいですが・・・無理に紛らわすことなく、自然に癒されていければと・・・こんな風に思えるのも、前田さんのお陰です。

本当にありがとうございました。

前田のコメント

通常私たちコミュニケーターは、「セッションが終了した動物のことは忘れる」よう努めます。

ここでいう「忘れる」ことは、「引きずらない」、「手放す」ことで、コミュニケーター側の、「こうであってほしい」という願望や執着を持たないためにそうするのです。

ところが今回モモタロウ君の場合は、T様も感想に書いてくださった通り、とてつもない大きなものを感じて、それに導かれるまま通訳し、ハラハラと涙をこぼし、魂を揺さぶられ・・・それが何日も続いたのでした。

どこまで言葉に置き換えられるかわかりませんが、モモタロウ君の意思や存在を、書き留めておきたいと思います。

まずセッション中の感覚ですが、すぐ間近に、正確には隣にモモタロウ君がいて、呼吸する度上下する胸や息づかいまで、違和感なく感じられました。前回あれほど無口で遠い感じがしたので、その落差に驚いたものですが、今にして思えば、もう身体を離れかかっていたので、意識がどこへでも飛んでいきやすかったのでしょう。

自分の生に対しては実に潔く、その執着のなさは見事としか言いようがなく、そうでありながら、ママのT様に伝えたい一心で、朦朧とする意識の中私へ意思を伝えてきたのです。

人は崇高なものを前にすると、手を合わせ祈りたくなるものですが、私は今回、それに近い感覚をもちました。

モモタロウ君が、T様にご報告を済ませてすぐ旅立った後の数日は、私の元へも、度々訪れていました。

そんなある日、私はとあるスーパーにいました。夕刻で、それなりに混雑していましたが、また、ふっとモモタロウ君を思い出したのです。

すると瞬時に、私の回りは静かになって、スーパーの白い壁がスクリーンに変わりました。

そのスクリーンから、美しい黒豹が出てきました。するりと抜け出て、人の波をかきわけ、私の方へ向かってくるのです。

もちろんモモタロウ君とわかっているで、私はかごを持ったままその場にとどまりました。正確には、動けなくなっていたのです。

モモタロウ君は軽やかな足取りでやってくると、私の手に頬をすり寄せ挨拶してくれました。そして、私の回りを右に左に、前へ後ろへ―優雅に回りながら、自分の身体の美しさと完璧さを、存分に披露するのです。

私はその姿を目で追いながら、モモタロウ君が誇りをもっていたころの姿に戻っていること、その喜びと感謝を伝えたくてここに来ていること、そして本当の別れを言いに来たことを感じとります。

やがて満足したモモタロウ君は、口を大きく開けて咆哮しました。太く鋭い牙と白い歯が並んでいます。みなぎるパワーを、見せてくれたと感じとります。

最後に大きく旋回すると、モモタロウ君は踵を返しました。
太く立派な尾が鞭のように宙を舞い、身体が跳躍します。

最初に見たスクリーンは、広大な自然の夕暮れ時を映していました。
赤い大きな夕陽が燦然と輝く、豊かな大地です。

モモタロウ君がスクリーンに向かってジャンプすると、瞬時に彼の姿はスクリーンに吸い込まれていきました。

私の耳はまた音を拾い出し、雑踏の中へ戻っていました。

モモタロウ君、ありがとう。君の潔い崇高な精神と深い愛に、賛辞を捧げます。
T様とモモタロウ君の再会に、祝福がありますよう。